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トーキングヘッズ叢書(TH Series) No.35
「変性男子〜HENSEI☆DANSHI」
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A5判192頁・定価1500円(税込)ISBN 978-4-88375-093-1
発行=アトリエサード/発売=書苑新社(しょえんしんしゃ)
好評発売中!

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“オトコ”を脱ぎ捨てれば、もっと自由になれる!

美少年の女装をネタにしたマンガがあふれ、
現実でも女装者が増えているこんにち、
「男」は明らかに変容してきている!

両性具有やショタも含め、
「男らしさ」を脱ぎ捨てた男子像を
ここに探る!

《性別って人の数だけあると思うんですよ》
    ――ヴィヴィアン佐藤(ドラァグクイーン)

《男性の女性化というのを、能動的な自由として、
 認められる文化になればいい。》――J'zK(モデル)

[前書きを読んでみる]

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■主な内容
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湯澤幸一郎(カウンターテナー/Caccinica)インタビュー
   ――声で生み出す倒錯的陶酔感●西川祥子
ヴィヴィアン佐藤(ドラァグクイーン)インタビュー
   ――“らしさ”へ反発してやってたら
     ドラァグクイーンと呼ばれるようになった
     ●西川祥子
J'zK(モデル/女装メイドさんのいる呑み処「雲雀亭」)インタビュー
   ――女性でも中性でもなく、“無性”になりたい!
     ●あや野/写真:堀江ケニー
対談・ぽ〜じゅ(漫画家)×G4th(造形師)
   ――ショタは、男子が新たな自由を獲得する手段だ!
―――――――――――――――――――
PREFACE●沙月樹京
下降する美童たち●高原英理
隣の芝生は…青いのか?●槻城ゆう子
幾何学の少年たち――タルホ文学と幾何学建築●樋口ヒロユキ
美貌に罪あり?――変性男子としての周恩来●浦野玲子
性を越境することで豊かな感情や可能性に目覚めよ!
    ――リンゼイ・ケンプ
●沙月樹京
甲秀樹・倒錯的境地に誘う物語性
舞踏に見る身体の個性――点滅×泰造●いわためぐみ
クロソウスキーvsシュレーバー(抄)
   ――パラノ的「両性具有」とスキゾ的「身体女性化」
●鷲沢弘志
ちんゝ電車と変性男子の不可思議●御手洗花女(母檸檬)
マンガとかの女装少年ものってどんなのがあるか気になったので拾ってみた
     ●沖沢あきら
我が潤いの変性☆男子●あや野
両性具有小考――手塚治虫とともに●志賀信夫
山に登るということ――川原由美子における男女の距離●本橋牛乳
喜びにあふれた性の深淵――マイケル・A・ローゼン●相馬俊樹
愛しく悩ましい少年キャラたち●林アサコ
'08ショタの世界をのぞいてみよう!――美少年からフリークスまで●林アサコ
強くなくても当然のように生きられる社会について
     ――ケアをめぐる市野川容孝と立岩真也
●本橋牛乳
Review
   江戸川乱歩「怪人二十面相」●朝宮運河
   夢野久作「犬神博士」●朝宮運河
   木村朗子「恋する物語のホモセクシュアリティ」●沙月樹京
   石田徹也「石田徹也遺作集」●寺澤梟木
   平野啓一郎「日蝕」●沖沢あきら
   「地球に落ちてきた男」●沖沢あきら
   川村毅・演出「毛皮のマリー」●虚青裕 ほか
    ほか
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人形作家・清水真理ロングインタビュー
   ……物語奏でる闇のサーカス●沙月樹京
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SPECIAL RECOMMENDATION
   「塩田千春 精神の呼吸」
        ……不吉な幸福に満ちた黒いまどろみ●樋口ヒロユキ
   ブラザーズ・クエイの最新作公開決定! さらにこれまでの作品も一挙上映だ!
   「近藤聡乃展」……浮遊し漂う感情
   「会田誠展」……会田誠がまた何かをやらかすらしいw
   「サディスティックサーカス2008」/「白昼の大見世物展」
   「日月沙絵展〜white broccoli〜」
        ……世紀末芸術の様式美を自在に描く画力●樋口ヒロユキ
   「創作人形 三人展 Three〜亜由美 愛実 みかん〜」
        ……創作人形の新たな展開を垣間見た、かも!
   「落下の王国」……エキゾチズムあふれる幻想譚
   「木ノ下歌舞伎」……歌舞伎の太い骨格をぶち壊そうとする木ノ下歌舞伎!
        ●樋口ヒロユキ
   「青春のロシア・アヴァンギャルド」
   「市場大介展」/「廣江友和展」
   「ダンスがみたい! 10」●いわためぐみ
呪術対美術《2》「ロン・ミュエックと塩田千春」●樋口ヒロユキ
TH Recommendation
   「王妃の紋章」、小松和彦の世界、バレエ・ノア ほか
TH coming art showcase : 林アサコ
表紙●写真:堀江ケニー/モデル:J'zK
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| TH No.35「変性男子〜HENSEI☆DANSHI」 | 17:36 | - | - |
トーキングヘッズ叢書(TH Series) No.35
「変性男子〜HENSEI☆DANSHI」より前書きを転載。


  PREFACE――沙月樹京

「変成男子」(へんじょうなんし)という法華経に書かれた仏教用語があって、
これは何かというと、女性は極楽浄土には行けない、
だけど男性に変われば成仏できるよ、という、何だかウラ技的な思想なのだが、
この、女が男に変じることを「変成男子」と称したのであった。
で、大本という宗教はこれを援用したのかどうか、
「変性男子」(へんじょうなんし)という思想を持っていて、
これは、肉体は男性だが魂は女性だという両性具有的な考え方である。

それらについて事細かに触れることはしないが、
今回の特集「変性男子」(へんせいだんし)を読むにあたっては、
いちおうそういう言葉があるんだよ程度には
踏まえておいていただいた方がいいかもしれない。

だがもちろん、「変性男子」(へんせいだんし)という言葉に
特に宗教的な意味合いを込めようという意図はないし、
ただ単純に、「変わった性質の男子」を取り上げてみようか、
という程度のものなので、たまたま似た名称になった、
という理解で問題ないんだけれどもね。

でだ、「変性男子」(へんせいだんし)についてもう少し詳しく書くと――

「男らしさ」「女らしさ」という概念がある。
一九九三年に出版されたものだが、
伊藤公雄は『〈男らしさ〉のゆくえ』(新曜社)という本の中で、
「男らしさ」というものは「優越」「権力」「所有」の
三つの志向性に集約できるとした。

「簡単にいえば、ここでいう優越志向とは、
他者に対して優越したいという欲求であり、
権力志向とは、自分の意志を他者におしつけたいという欲求であり、
所有志向とは、できるだけ多くのモノを所有したい、
また所有したものを自分のモノとして確保したいという欲求である」(同書)。

そのうえで伊藤は九〇年代は「男性問題の時代」だと主張し、
旧来の「女らしさ」からの脱出を目指している女性たちから
男性は変わることを求められ、
しかし「男らしさ」という鎧を脱ぎ捨てられずに行き場を失っていると指摘する。
男性は近代社会の変化に取り残されているというのだ。

それへの対処方法のひとつとして、
「男らしさ」を取り戻そうとするアメリカのメンズ・リブ運動を紹介するが、
しかし伊藤はそれには「心から賛同することはできない」という。
「『男性性』『女性性』による抑圧から自由になる道は、
現状の『男』『女』という固定的なイメージから、
個々人の固有性・複雑性へ向かって、自己を解放していく道以外にない」と
考えるからである。

さて、伊藤のその著作から十五年程度経って状況はどうなっているか見回してみると、
確かに「自己を解放」する方向へは向かっているようである。
少なくとも日本国内では、マッチョ的に「男らしさを取り戻す」という
ムーヴメントが起きているようには思えない。

その代わり流行った(いまも流行っている?)のが
「メガネ男子」だったりして、そこに求められる知的さ・クールさは、
熱血マッチョな男性像とは正反対のところに位置するものである。

そもそも日本における性差は、もともとあいまいなところがあった。
白洲正子は『両性具有の美』(新潮文庫)のなかで、
日本人が何を考えているかわからないというあいまいさを、
言葉のあいまいさから来るものだとし、
それを夕暮れや月夜などの自然描写のあいまいさにつなげてみせる。

それゆえ人物についても「周囲の環境といかによく調和しているか、
そのことだけを美しいと見た」ため、
「顔だちとか表情などは二の次で、立居振舞や風情の方に気をくばった」のだとする。

よって『源氏物語』などでは「顔の表情に重きをおいていない」がゆえに
「男女の美しさにあまり区別をつけてはいない」というのである。

『源氏物語』が書かれた平安時代は、
現代のように同性愛関係をタブー視する風潮はなかった。

だがそれは、男男の関係や女女の関係が確固たるものとして
認められていたということではなく、
ほのかな明かりの中で男が女のように、女が男のように見える、
そのあいまいな様子に美を見いだし、
その結果関係が異性愛的なものになろうと同性愛的なものになろうと
別にかまわないという、まさにあいまいな感覚によるものだった。

光源氏と聞いて、マッチョな男を想像する者はたぶんいないだろう。
どちらかというと、「メガネ男子」的で中性的な美男子をイメージするにちがいない。

そのイメージがどこから来たかというと、
たぶんそのような日本特有の言葉や描写、
関係のあいまいさの残滓がいまなお息づいているからだろう。

だから現代の日本男性がまとっている「男らしさ」という鎧は、
西洋的近代化によって無理矢理背負わされたものであるともいえる。

とすると、鎧を脱ぎ捨てたその先にはまったく未知の世界が広がっているわけではなく、
指標とするものがちゃんと過去にあったのである。
そのことは覚えておいてもよかろう。

今回は、そのようなジェンダー的なものも含め、
近代化以降イメージされている「男らしさ」を脱ぎ捨てた/脱ぎ捨てようとしている
「男」に焦点を当てようとするものだ。

そこに新しい「男子像」を探り出そう。
そしてその「男子像」は、戦いによって力づくで他者を圧倒しようとし続けた
近代のマッチョな政治力学をも変革していくかもしれない、
そんなこともちょっと思ったりするのである。

この本の詳細は[こちら]
| TH No.35「変性男子〜HENSEI☆DANSHI」 | 17:33 | - | - |